2013/10/25

2013/10/25 榎本

Activity of striatal neurons reflects social action and own reward.
Baez-Mendoza R, Harris CJ, Schultz W.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Oct 8;110(41):16634-9.

 線条体細胞が社会的コンテキストにおいて他者の報酬・行動を反映した応答を示すという論文です。向かい合った二頭のサルが交互に行動し、自己/他者の報酬の有無が刻々変わる。線条体前部(被殻・尾状核)の投射細胞はさまざまなタイミングで応答し、その多くが自己の報酬の有無だけをコードしていたのだけれども、自己の行動・他者の行動の情報を持ってるやつも少なからずいました。相手をサルからコンピュータに変えると応答がなくなる細胞もいることが確かめられたので、これはソーシャルであろう、と結論してます。いままでご紹介したサル電気生理の仕事では、前頭内側皮質OFC、またACCなんかが他者の行動や報酬に関係する活動を示すことを報告していますが、社会的な文脈における運動と報酬情報を両方持ってる脳部位として、線条体は重要であろう、という。

 とはいえ、後からごちゃごちゃ解析してる割にはTask epochごとの活動のちがい、Error trialによるReward/Action valueへの影響なんかについては言及していませんし(他者行動ニューロンはAction prediction errorみたいな応答をしている)、記録部位による活動の違いもありそうですけど何も記述がありません。サルは二頭しか使っていませんが(集団飼育している4頭のうちの順位の低い2頭を使用)、ヒエラルキーも影響するでしょう。もうちょっと突っ込んだ解析を期待したいところです。また、コントロール実験でコンピュータを相手にすると活動が変わった細胞がいましたが、半数以上がその影響がないわけで、皮質下の脳領域において、どこまで社会的状況が大事なのか疑問が残ります。

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おまけ
Ant colonies outperform individuals when a sensory discrimination task is difficult but not when it is easy

いつでも集合知が良いわけじゃないという話です

2013/10/25 杉本

今後予定している研究計画の発表

参考資料
Learning Objective Functions for Manipulation
Kalakrishnan, M.; Pastor, P.; Righetti, L.; Schaal, S.
IEEE International Conference on Robotics and Automation, 2013

経路積分強化学習にもとづいた逆強化学習の論文です。
アルゴリズムをかいつまんで紹介しながら、
それに基づいた研究計画をお話しします。

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2013/10/04

2013/10/04 鮫島

Distinct Basal Ganglia Circuits Controlling Behaviors Guided by Flexible and Stable Values
Hyoung F Kim & Okihide Hikosaka
Neuron, Volume 79, Issue 5, 1001-1010, 2013

Highlights
► Neurons in the primate caudate nucleus encode reward values of visual objects
► Flexible and stable values are encoded in the caudate head and tail, respectively
► Inactivation of caudate head disrupts gaze choice guided solely by flexible values
► Inactivation of caudate tail disrupts gaze choice guided solely by stable values

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大脳皮質ー基底核ループの並列機能仮説のうち、尾状核の様々ところから記録し、機能としてはcontrolled action と automatic actionという切り口でまとめた論文です。直接choiceの際の活動の詳細な解析はありませんが、object valueや変化の早さという新しい並列性を持ち込んでいます。


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2013/10/04 上條

Hilar Mossy Cell Degeneration Causes Transient Dentate Granule Cell Hyperexcitability and Impaired Pattern Separation
Jinde S, Zsiros V, Jiang Z, Nakao K, Pickel J, Kohno K, Belforte JE, Nakazawa K.
Neuron. 2012 Dec 20;76(6):1189-200. doi: 10.1016/j.neuron.2012.10.036.

Highlights
► New transgenic mouse line with inducible rapid degeneration of mossy cells
► Interneurons driven by mossy cells inhibit granule cell activity
► Loss of mossy cells alone is insufficient to trigger limbic epileptogenesis
► Mossy cell control of dentate excitability affects pattern separation function

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先日の私の発表で海馬ハイラスにある苔状細胞が顆粒細胞や歯状回のコントロールをしているのではないか?に答えてくれる根拠の一つになる論文だと思います。
歯状回はパターンセパレーションや癲癇に大きく関わってると言われています。この論文では遺伝子改変マウスでハイラスの苔状細胞を特異的に変性させ、in vivoとin vitroで電気生理実験と行動実験を行い、上記の2点について述べています。

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