2012/12/21

2012/12/21 菊池


Sleep and circadian rhythm disruption in psychiatric and neurodegenerative disease.
Wulff K, Gatti S, Wettstein JG, Foster RG.
Nat Rev Neurosci. 2010 Aug;11(8):589-99.

ある種の精神疾患・神経変性疾患患者には睡眠異常が現れるのが一般的です。以前には睡眠異常は薬物治療の副作用・疾患による不快感や痛み・社会からの断絶の影響などによる2次的な結果だと考えられてきました。しかしこの論文では脳疾患と睡眠異常は共通メカニズムを持ち、交互作用するという主張がされており、睡眠の安定化の臨床への応用価値の高さを強調しています。

2012/12/21 鮫島


Reward improves long-term retention of a motor memory through induction of offline memory gains.
Abe M, Schambra H, Wassermann EM, Luckenbaugh D, Schweighofer N, Cohen LG.
Curr Biol. 2011 Apr 12;21(7):557-62.


Subcellular connectivity underlies pathway-specific signaling in the nucleus accumbens.
Macaskill AF, Little JP, Cassel JM, Carter AG.
Nat Neurosci. 2012 Nov;15(12):1624-6.


運動学習の固定化に報酬有無が及ぼす影響を検討した論文、と海馬から側坐核への入力様式を視床・皮質からの入力様式を検討した in vitroの論文、を紹介します。

正直ほとんど関係なさそうな2つの論文をつなぐ(少々乱暴な)考えが議論できたらおもしろいかなとおもって読んでみました。

よろしくお願いします。


2012/12/17

2012/12/10

2012/12/10 渡邊言也

Chib VS, De Martino B, Shimojo S, O'Doherty JP.
Neuron. 2012 May 10;74(3):582-94.

もらえる報酬額が大きくなると、今までできていたタスクを失敗してしまうというChoking effect(息が詰まる効果)の現象が起こった時に脳の中では何が起きているのか、そしてそれは何が原因なのかということを論じた論文です。



2012/12/04

2012/12/04 山中

Robust representation of stable object values in the oculomotor Basal Ganglia.
Yasuda M, Yamamoto S, Hikosaka O.
J Neurosci. 2012 Nov 21;32(47):16917-32.

大脳基底核の黒質網様部(SNr)が
文脈によって変化するflexibleな価値表現というよりも、
ある程度stableな価値(お金のような?)に基づいた
行動制御により強く関与していることを示しています。

大脳基底核のCaudate tail-SNr-SCという経路が
長期的な価値の計算に重要であることを示唆しています。

関連論文
What and where information in the caudate tail guides saccades to visual objects.
Yamamoto S, Monosov IE, Yasuda M, Hikosaka O.
J Neurosci. 2012 Aug 8;32(32):11005-16.

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Flexible valueのコーディングに
SNr->SCはあまり関与していないのでしょうか?
Sato and Hikosaka(2002)のときに記録したSNrニューロンと
記録した部位が違う?

あとFig.13Bのchoice rateのプロットは
free-choiceのときのchoice rateを示しているのだとすれば、
(1ブロック30trialでforced trial=24trial,choice trial=6trial)
6trialしかないはずなんですが20~30点くらいあるのはなぜでしょうか?

2012/12/04 榎本


The mysterious motivational functions of mesolimbic dopamine.
Salamone JD, Correa M.
Neuron. 2012 Nov 8;76(3):470-85.

側坐核ドパミン系機能についての、心理学者ぽいまとめです。ゴールまでの心理的距離(物理的距離、待ち時間、確率、労働)をのりこえるための、辺縁系から運動系への橋渡し、というかんじ…?



Pain relief produces negative reinforcement through activation of mesolimbic reward-valuation circuitry.
Navratilova E, Xie JY, Okun A, Qu C, Eyde N, Ci S, Ossipov MH, King T, Fields HL, Porreca F.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Nov 26. [Epub ahead of print]

痛みの緩和が報酬になる……ラットの脚を傷つけて、リドカイン注射で沈痛してやると、VTA→NAc medial shellへ投射しているドパミン依存的に条件付け場所嗜好性がみられ、VTAでのcFOS発現、マイクロダイアリシスで側坐核におけるドパミン放出まで確認してます。嫌悪刺激にたいして興奮応答するようなやつとはちがって、古典的な報酬系の回路っぽい。入力は傍小脳脚核や帯状皮質(直接または扁桃体を介して)、外側手綱核から間接的に?



おまけ

脳の中のグリア細胞の働きで、運動学習が加速することを発見 ―神経細胞とは異なるグリア細胞の活動を光で自在に操る技術を確立―

意識のことまで話しを拡げているのがおもしろいです。